擬ポリロタキサンナノシート
擬ポリロタキサンナノシートの基礎研究
当研究室では、擬ポリロタキサンナノシート (Pseudo-polyrotaxane nanosheet, PPRNS) と呼ばれる新規ナノシート材料 (100 nm以下の厚みとその100倍以上の横方向サイズを持つ材料) の作製に2018年に初めて成功しました[1]。PPRNSは環状オリゴ糖であるシクロデキストリンがポリマー鎖を包接した擬ポリロタキサンの階層的な自己組織化によって形成される超分子ナノシートの一種です。用いるポリマー鎖を適切に設計することにより、厚みが十数nmに精密に揃ったナノシート構造を水中で原料を混合するだけの簡便な手法で形成可能であることを報告しています。
PPRNSを構成するシクロデキストリン (食品添加物) とポリマー (主としてポリエーテル) がいずれも高生体適合性であることはPPRNSの大きな特徴です。また極めて薄い膜厚に由来する柔軟性により凹凸のある表面にも追従し、近距離相互作用により高い付着性を示します。これらの特長からDDSなど生体関連分野を含む幅広い応用展開を目指した研究を行っています。
References
[1] S. Uenuma, R. Maeda, H. Yokoyama, K. Ito, Chem. Commun., 2019, 55, 4158.